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地震が起きたらどうしたらいい?子どもと一緒に考えたいこと

地震が起きたらどうしたらよいのでしょうか。その時の対応について子どもと一緒に考えたいことを紹介します。

地震はいつ・どこで起こるか分かりません。その影響や被害を軽減するためには、日頃からの備えと、地震が起こった後の対応が大切になってきます。特に、その対応方法によっては、自分や周りの人の命を危険な状況に置いてしまう可能性もあります。そのため、実際に地震が起こった後の対応を事前に理解することで、命を守る行動をとることにつながります。

被災時に子どもと一緒とは限りません。子どもも自分で考え、行動できるよう、地震が起こった後の対応について場面ごとに紹介していきます。

屋内で地震が起きた時の対応

台風などの風水害は気象予報を見て、いつ頃くるか予想できますが、地震は普段の生活をしている中で、突然やってきます。その時、どこにいるかで対応が変わってきます。まず、屋内で地震が起こった時の対応方法を紹介します。

 

自宅(戸建て・マンション・アパート)

自宅にいるときに大きな揺れを感じたら、身の安全を最優先に考え、丈夫なテーブルの下など、家具やモノが「落ちてこない」、「倒れてこない」、「移動してこない」空間に移動し、揺れがおさまるまで待ちます。

料理中など、火を使っていた場合、震度5弱以上の揺れを感知すると、ガスは自動で供給が止まり、火が消えるので、あわてて火を消そうとせず、身を守ることに専念してください。IHクッキングヒーターも同規模の揺れを感知すると自動で停止するので、揺れがおさまった後、避難する前にガスの元栓を閉めるなど火の始末やブレーカーを落とすことを忘れずに行いましょう。そうすることで二次被害の火災を防ぐことになります。

地震の揺れで玄関のドアがゆがみ、開けられないときは、窓を開けて出口を確保してください。その際、割れた窓ガラスなどで足をけがする可能性があるため、靴を履くか、厚手の靴下やスリッパなど足を守るモノがあると安全です。マンションなど高層階に住んでいる場合、地震によってエレベーターの機能が正常に動くか分からないため、必ず階段を使って避難してください。廊下側に窓がなく、出られない場合は、ベランダ側の窓から出口を確保し、避難用はしごなどで避難するようにしてください。

 

デパート・ビル

買い物でスーパーやデパートなどのビルの中で地震にあった場合も身の安全を最優先に考えてください。ショーケースの転倒や陳列している商品が落下する危険性があるため、窓や商品棚から離れ、買い物カゴなどで頭を守るようにしましょう。

 

特に、ガラス製品などは割れてけがをする危険性を高めるため、気を付けてください。移動することができれば、柱の付近やエレベーターホールなど比較的商品の少ない場所に移動してください。

 

避難する際は、マンションと同様にエレベーターは使用せず、商業施設では避難経路が定められているため、あわてずに係員の指示に従って避難行動をとってください。もし、エレベーターに乗っている時に地震が発生したら、すべての階のボタンを押し、停止した階で降りてください。

屋外で地震が起きた時の対応

次に屋外で地震が起きた時の対応を紹介します。その時いる場所によって、注意する点や対応が変わってきますので、自分が置かれた状況に合わせた行動がとれるように、各場面で想定されるポイントを見ていきましょう。

市街地の近く

周りにビルや高い建物がある市街地にいる場合、建物の倒壊や割れた窓ガラスの破片といった落下物の危険から身を守るため、建物からできるだけ離れ、かばんなど持っているもので頭を守るようにすることが必要です。


落下物を避けようとして、ビルや建物内に避難することは、倒壊の危険性もあるため、避けるようにしましょう。また、ブロック塀や自動販売機、電柱など、地震で傾いたり、倒れやすかったりするものには近づかないようにし、電線が垂れ下がっている場合は、感電の危険があるため、絶対に触らないようにしましょう。


その場から移動できるようであれば、公園や空き地など、広くて安全が確保できる場所まで避難し、地震がおさまるまで様子を見ましょう。

山や海の近く

地震が起きた時に、山や丘にいる場合は、土砂崩れや落石の危険があります。がけや急斜面に近づかないようにし、岩が転がる音にも注意を払いましょう。また、海岸など海の近くにいた場合は、地震によって起こる津波に警戒する必要があります。すぐに高台や建物の3階以上など高い場所へ避難するようにしてください。津波の力は強く、建物によっては、押し流されてしまうこともあるので、鉄筋コンクリートづくりのビルなど頑丈な建物の高層階に避難するようにしましょう。津波は一度過ぎ去っても、第二波、第三波と何度も押し寄せてくることがあるため、波が引いた後も安心せず、津波情報をこまめに確認し、避難を継続したり、必要に応じてさらに安全な場所に移動したりするといった対応が必要になります。

乗り物に乗っている

自動車を運転している時に地震にあった場合、急にブレーキをかけると事故につながる危険性があるため、あわてず状況を見て、ゆっくりとスピードを落とし、道の端に寄せて停車することが重要です。

揺れがおさまらない内に外に出るのは危険なので、落ち着くまでは車内に留まり、ラジオから地震や交通情報を聞き、今後の行動を判断するようにしてください。

その場で車から避難する必要がある場合、緊急車両の妨げにならないよう、車の鍵はつけたまま窓を閉め、ドアをロックしないでおきましょう。車検証などの貴重品を忘れずに持ち、徒歩で避難するようにしてください。

電車に乗っている場合は、緊急停止措置などの措置が取られるため、乗客同士が倒れ込んでケガをしないよう、つり革や手すりにしっかりつかまってください。揺れが落ち着いた後は、乗員からアナウンスがあるので、それに従って避難するようにしましょう。

避難所で心掛けること

地震の影響で自宅や周りに大きな被害が出て、元のように住めなくなってしまった場合、一時的に、避難所で生活をすることがあります。避難所は、各市町村であらかじめ場所が決められており、公民館や学校の体育館など公共施設が主に指定されています。(避難所での過ごし方についてこちらの記事もご参照ください。)

避難所では、スペースや物資が限られている中での集団生活になります。避難している人たちの中には、高齢者や乳幼児、妊産婦、障害のある人、外国にルーツのある人など特に配慮が必要な人もいます。

さまざまな人との避難生活と、避難生活のストレスなどから避難者同士のトラブルにつながる可能性もあります。安全で円滑な集団生活を送るためには、皆で力を合わせることが不可欠です。

まず、知っている人も知らない人にも、あいさつをしましょう。たとえば、物資を取りに行くことが難しい人など、困っている人への配慮や声の掛け合いが大切です。そして、自分でできることは自分でやるなど、それぞれの心掛けも重要になります。(こちらの記事もご参照ください。)

生活時間やゴミの分別といった最小限の生活ルールを定め、避難者同士が守り、皆が気持ちよく過ごせるように協力しましょう。

また、避難所の子どもたちが遊んだり、休んだり、学んだりできる場をつくることも忘れないでください。国が定める避難所運営ガイドラインでは、授乳室やキッズスペース(子どもの遊び場)確保の必要性についても言及されています。


過去の災害支援では、子どもたちが物資の配布や清掃を手伝ったり、年齢の低い子どもと一緒に遊ぶなど自発的に避難所運営に関わっていた様子を見聞きしました。セーブ・ザ・チルドレンは、2011年東日本大震災2018年西日本豪雨が起こった後の子どもたちのそうした様子を記録し、冊子にまとめています。

子どものためのPFA(心理的応急処置)

自然災害などの緊急時、「支援をしたい。でも、ストレスを抱えた被災者、特に子どもにどう関わればいいか分からない」と思ったことはないでしょうか。

そんな時、支援する側にどのような行動が求められるかを示した、「子どものための心理的応急処置(Psychological First Aid for Children)」(「子どものためのPFA」)という方法があります。「子どものためのPFA」は、世界保健機関(WHO)などが2011年に開発したPFAマニュアルをもとに、2013年にセーブ・ザ・チルドレンが作成しました

「子どものためのPFA」は、緊急時に子どもが示す子ども特有の反応や行動を知り、ストレスを抱えた子どもに接する際、どのように相手に寄り添えばよいのかという支援者としての姿勢と行動が示されています。「子どものためのPFA」は、心理や精神保健の専門家でなくても使えることが大きな特徴です。

状況に合わせた対応をしよう!

地震はいつ・どこで起こるか分かりません。そのことを常に意識して、事前にさまざまな状況に合わせた対応方法を知っておくことで、いざという時の行動や、こころの安定にもつながります。

今回は地震による対応を中心に紹介しましたが、台風などの風水害によっては、備えや対応が変わってくることもありますので、この機会にぜひ、災害が起こった時の対応方法を家族や周りの人と一緒に考え、自分や大切な人の命を守る行動につなげてください。